陸上貨物運送事業の荷役作業における墜落・転落災害の約7割が貨物自動車からの墜落・転落災害となっていることから、荷役作業における安全対策の強化が強く求められていました。それを受けて、貨物自動車の荷役作業に従事する労働者の安全確保のため事業者が講ずべき処置等について、労働安全衛生規則の一部を改正する省令及び安全衛生特別教育規定の一部を改正する件が公布され、2023年10月1日から(2. については2024年2月1日から)適用されます。
1. 昇降設備の設置及び保護帽の着用が必要な貨物自動車の範囲を拡大
現在、最大積載量5トン以上の貨物自動車については、昇降設備の設置義務及び荷役作業を行う労働者の保護帽着用が義務付けられていますが、義務の対象となる貨物自動車が最大積載量2トン以上のものに拡大されます。
なお、保護帽着用の義務の拡大については、荷台側面が構造上開放できるもの(平ボディ車、ウイング車など)、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターで荷の積み下ろしを行うときに限る)とされています。
2. テールゲートリフターによる荷役作業についての特別教育を義務化
テールゲートリフターを使用して荷役作業を行う際の、テールゲートリフターの操作の業務が、労働安全衛生法第59条第3項に基づく特別教育の対象となります。
3. 運転者が運転位置から離れるときの措置の適用除外
原動機(エンジン)を動かさなければテールゲートリフターが動かない構造のものも存在することから、運転席とテールゲートリフターの操作位置が異なる貨物自動車においては、運転者が運転位置を離れるときの原動機の停止義務及びテールゲートリフターを最低下降位置に置くことについては適用が除外されます。ただしブレーキを確実にかける、輪止めをするなどの逸走防止措置を講じることは必要です。
Q. 昇降設備の要件は?
A. 貨物自動車に取り付けられたものだけでなく、荷役作業場所に備え付けられ、作業の際に持ち運んで使えるものも含みます。
Q. 安全な昇降設備とはどのようなものですか?
A. ・地面から踏面の段差が50cm以内であること
・両足を置くことができる踏面幅であること
・踏面表面上に滑り止め加工がされていること
・踏面は板状又はスリット状であること 等
昇降グリップ(手すり)がある方がより安全です。
Q. 保護帽とは何ですか?
A. 保護帽とはヘルメットです。荷役作業では、型式検定に合格した、帽体内部に衝撃吸収ライナーを備えた「墜落時保護用」の製品を使用することが必要です。
Q. 罰則がありますか?
A. この度の労働安全衛生規則改正部分に適用される罰則の条文として、安衛法第119条、120条があります。
安衛法第119条:6月以下の懲役または50万円以下の罰金
安衛法第120条:50万円以下の罰金
対象となる事業所では10月1日までに昇降設備や保護帽を準備する必要があります。
また、昇降設備の構造は手すりのあるものや踏面に一定の幅や奥行があるものが望ましいとされています。
当社でも昇降設備及び保護帽のお取り扱いがございますので、気になることがございましたら下記よりお気軽にお問い合わせください。